ソーシャルPLUS社には二人のデザイナーがおり*、プロダクトに関連するデザインを担っています。ビジネスや開発のチームと共に良いプロダクトを作るため、何を考え、どんなことをしているのか聞きました。
*2023年4月現在
勝田:前職は請負会社だったので、納品した後に改善点が上がってきてもすぐに対応できないもどかしさがありました。本来、UXは「ユーザーにどのような体験を届けるか」を担う領域ですが、前職ではビジネスモデル上「実際のユーザーにどのような体験が届いたか」を元に改善することが難しかったのです。
そこで、UXや改善の意識が高い組織なら、前職でできなかった範囲にも責任を持って携わることができるのではないかと考えました。ユーザーとプロダクトをよりスムーズにつなげることを目指しています。
小柳:私は、ビジネス - 開発 - デザインの距離感が近い組織で働きたかったんです。
20代の頃は「デザインの一芸に秀でないとダメだ」という一心で、デザインだけに集中してギラギラと働いていました。でも歳を重ねるにつれて、ビジネスやテクノロジーとの掛け合わせでデザイナーとしての価値を出す方が自分に合っていると思い始めたんです。それで、ビジネス - 開発 - デザインの連携が強いソーシャルPLUS社に来ました。
また、グループ会社*のデザイナーインタビューに強く共感したのも決め手になりました。
*ソーシャルPLUSが分社化する前の所属会社
「デザイナーの仕事は単に見た目を良くすることではなくて、ユーザーに正しく価値を提供するためのハブになることだ」というスタンスが、私が目指すものと同じだったんです。デザインだけではなく、企画・調査・検証や、チームがスムーズに議論する土台作りなど、このグループのデザイナーは、プロジェクトの進行全般に積極的だとわかりました。
勝田:私が一人目のデザイナーとして入社した頃は、UI設計を中心に、ビジネスチームのクリエイティブ制作の支援をしていました。工数が足りず、実際にクリエイティブを作るのはマーケターさんで、デザイナーは支援にとどまっていたんです。
小柳さんが加わってからは、リソースが足りなくてできなかったことがどんどんできるようになりました。以前のカバー範囲に加えて、既存のUIデザインの強化・ブログのアイキャッチ作成・サイトリニューアルなどにも対応しています。これまでは支援だけにとどまっていたビジネスチームのクリエイティブも、今はほとんどデザイナーが手を動かして作っています。
更に、課題を先回りして解決するような動きもできるようになりました。例えば、Figmaにクリエイティブのプレビューを確認するための場所を作ったり、Webflowの更新方法のドキュメントを作ったりすることで、マーケターさんとの連携が更にスムーズになりました。
「なくても問題ないけど、あるとベター」な環境を、デザイナーが提案して作っています。
勝田:プロダクトデザインの深い議論ができるようになったのが大きいです。デザイナーが私一人だった時も、グループ会社のデザイナーさんと相談できる場はありました。ただ、所属するプロダクトが違うので、経緯や目的を深く把握していない中での、責任を含まない議論にとどまっていました。チームになって、プロダクトのコンテクストを把握している人と気軽に声をかけ合えるのはありがたいですね。
もう一つ良かったのは、属人化の状態を脱却できたことです。チームになったのを機に、必要なドキュメントを作ったり、デザインデータを一気に整理したりできました。階層の整理やマスターデータ管理のルール化などが進んだことで、過去データも探しやすくなりました。具体的な話は自分の記事にも書きました!
勝田:入社して最初のうちは、UI設計にもクリエイティブ制作にもビジネスチームの知識が必要だと考えて、ビジネスチームの人たちと一緒に仕事をしながら理解を深めました。商談に参加したり、ビジネスチームが主導するイベントのクリエイティブを制作したり、マーケターさんからデザイン業務を巻き取ったりしましたね。
デザインを作る時は、「Canva」というデザインツールの共同編集機能を使って、デザイナーが作った案に対して、マーケターさんが直接テキストなどを編集するというリレー方式にも挑戦し始めました。関係者全員で同じものを見ながら、効率的に制作する体制を少しずつ作ったんです。
ビジネスチームの近くで一緒に物事を進めていくスタンスは、今も意識しています。
小柳:私も同じで、勝田さんが築かれた土台をベースに、ビジネスチームの人たちが気軽にデザイナーと仕事ができる環境作りを心がけています。
そのためには、デザインのクオリティだけでなく、制作スピード・意図を汲み取る力・レスポンスの早さ・ユーモアなど、「頼みやすさ」の設計が大事です。デザイナーと二人三脚で仕事をしている感覚になれるような、身近なデザイナー像を目指しています。
勝田:ソーシャルPLUSのプロダクト開発では、LINEやShopify、認証・認可*など、いろんな技術要素が複雑に絡み合っています。デザイナーは、ビジネスインパクト・使いやすさ・技術的な制約のバランスを取りながらUIを組み立てていく必要があります。
*ユーザーがアプリケーションにアクセスする際に、正当なユーザーであるかどうかを確認する仕組み
エンジニアさんには、技術的な挙動や制約を具体的に確認するコミュニケーションが多いです。あとは、デザイナーが想定しているUIをコードベース(CSS, React)でエンジニアさんに伝えることも増えてきました。
気にすべきことが多い分、組み立ての難易度は高いですが、難しさも含めて楽しいです。
小柳:確かに、ソーシャルPLUSのデザインは技術的な難易度が高いですよね。さすがにエンジニアさんと同じ技術レベルになるべき とまでは思いませんが、エンジニア視点でプロダクトのことを考えるのはすごく大事だと思います。
小柳:エンジニア視点を理解する意味もあって、ソーシャルPLUS社とフィードフォース社のデザイナーで、React実習をやりました。個人的にもReactに興味があって、簡単な修正ぐらいはできるようになりたかったんです。1ヶ月ほどReactを独学してから、学んだことを他のデザイナーさん達に展開しました。
※詳しい話は「デザインチームでReactを学んだ話」 へ
勝田:私は受講者としてそのReact実習に参加しましたが、小柳さんの推進力は凄まじかったです。実習後、社内勉強会で小柳さんが実習の振り返りを発表した時は、こんなコメントが集まりました。
小柳:実習が終わってから、個人的には「Reactなにもわからない*」状態が続いていますが、次はもう少し発展して、Zoom背景を生成するサイトを作ってみたいです。仕事の後の自習時間で、ちょっとずつ進めています。
*ここでは「ある程度理解が進んだからこそ、難しさに直面している」という意味合い
デザイナーとして普通に働く上では、ここまでやる必要はないかもしれません。でも、ソーシャルPLUSのデザインチームは、ビジネスチームや開発チームとのハブとして機能し続けることを目指しています。だから、こんな風に他の領域に踏み込む動きも「アリ」ですし、皆が応援してくれる環境なんです。
勝田:私たちがハブとなって「お客様」「ビジネス」「開発」の摩擦を減らせば減らすほど、お客様に提供できる価値が増えるし、他のメンバーがさらに価値のある仕事に取り組めると思うんですよね。
なので、デザイナー起点で減らせる摩擦は出来るだけ減らしたいです。
小柳:ビジネスチームや開発チームへのリスペクトが原動力になっています。私にないスキルや足りないスキルを高いレベルで持っていて、それを日々発揮している姿がとてもカッコいいです。そんなチームに対して私がデザイナーとして貢献したことが、具体的な成果に繋がると更に嬉しいです。
あと、個人的に「成長したい人を積極的にサポートしたい」という思いもあります。これまで多くの人に育てられたので、これからは自分の経験を周りに還元していきたいです。
余談ですが、ソーシャルPLUSのミーティングは基本的にカメラONです。私たちデザインチームは、朝会などで毎日必ずビジネスや開発のメンバーと顔を合わせます。私は新潟からフルリモートワークですが、日々「一緒に働いている感」「同じ釜の飯を食ってる感」を得られるからこそ、モチベーションを維持・体現しやすいのかもしれません。
勝田:今は、開発中の大きな機能をちゃんと作り切りたいです。ゆくゆくは、UIやクリエイティブをさらに強化して、カスタマーサクセスの負担軽減やソーシャルPLUSの価値拡大を、デザインチーム起点でも実現させたいです。
小柳:まずはデザインチームとしてプロダクトの発展に大きく貢献することですが、その先にデザインチームを少しでも拡大することが夢です。そのためにこれからもデザインの価値をチームとして創出していきます!