株式会社ソーシャルPLUSは、ソーシャルログイン・LINEのCRM活用サービス「ソーシャルPLUS」を導入したサイトにおいて、ソーシャルログインの導入・利用状況調査を実施しました。
今回の調査では、ソーシャルPLUSが対応しているソーシャルログイン6種(LINE・Yahoo! JAPAN・Google・X・Facebook・Apple)の中で、「どのソーシャルログインが、どのような理由で導入されているのか?」「各種ソーシャルログイン導入サイトにおいて、よく利用されたのはどのソーシャルログインか?」などを調査しました。
◆本レポートの調査前提
まずはソーシャルログインを導入するサイト側が、「どのソーシャルログインを、どういう組み合わせで導入しているのか」に関する調査結果からご紹介します。
ランキング順位は2022年の調査から変動なしでしたが、1位の「LINEログインのみ」導入サイトと、4位の「6種(LINE・Yahoo! Japan・Google・X・Facebook・Apple)」実装サイトが増加しました。(図1)
1位の「LINEログインのみ」を導入するサイトは、本調査を開始した2021年以降最多の124サイトでした。LINEログインは、ソーシャルログインとして便利であるだけでなく、企業のLINE公式アカウントとの連携活用方法が豊富※1 であることからも、ますます導入企業が増え続けています。
4位の「Appleでサインインを含む6種のソーシャルログイン」を導入するサイトも、2021年以降最多の25サイトでした。Appleでサインインは、2020年に登場した比較的新しいソーシャルログインですが、iOS版アプリでソーシャルログインを導入する際にはAppleでサインインの導入も求められる※2 という背景もあり、導入サイトも増えてきました。「iOS版アプリにもソーシャルログインを導入するため、これまで導入していたソーシャルログインに加えてAppleでサインインにも対応したい」という要望も多く頂きました。
※1 LINEログインを利用することで、LINE公式アカウントへの友だち追加や、会員IDとLINEのユーザーIDの連携を促進できます。ID連携されたユーザーには、サイト上での行動・購買を元にしたLINEのメッセージの出しわけや、LINE公式アカウントからの1タップログイン(購買導線の簡略化)も可能です。
※2 2024年1月のガイドライン変更により、「Appleでサインイン」の導入義務を明示したテキストは撤廃されましたが、「特定のプライバシー機能を備えた追加のログインサービス」の提供は義務付けられており、実質的にはAppleでサインインの導入義務は継続していると言えます。さらに詳細は下記記事をご覧ください。
◆ Apple (sort of) removes its requirement that apps offer ‘Sign in with Apple’
各組み合わせごとのログイン利用状況は「ソーシャルログイン導入組み合わせランキング2023 詳細」章で後述しますが、5位までの導入パターン全てで、LINEログインが最もよく利用されていました。
6種(LINE・Yahoo! JAPAN・Apple・Google・X・Facebook)のソーシャルログイン導入サイトにおける、プロバイダごとのソーシャルログインの利用回数を集計した結果、LINEログインが39%で最も多く利用されていました。(図2)
また、6種のソーシャルログインを導入している各サイトにおいて、「最も多く利用されたソーシャルログインは何か」を調査したところ、LINEログインが最も利用されていたサイトが18サイトで最多でした。(図2)
2023年最も利用回数が多かったのはLINEログインで、全体の86%(前年比+2ポイント)を占めました。続いてYahoo! JAPAN(5%)、Google(4%)、X(2%)、Apple(2%)、Facebook(1%)でした。(図3)
ソーシャルログインの利用デバイスの内訳ではスマートフォンが全体の約97%を占めており(図4)、スマートフォンではLINEログインが最もよく利用されています(図5)。
スマートフォンで最もよく利用されていたのはLINEログインで、全体の89%を占めました。続いてYahoo! JAPAN(4%)、Google(3%)、X(2%)、Facebook(1%)、Apple(1%)でした(図5)。
また、2022年のデータと比較すると、スマートフォンでのLINEログインの利用回数が昨年比120%※3 と特に伸びている様子が伺えます。LINE・Google・Appleは増加傾向、Facebook・Xは減少傾向です。(図6)
※3 2022年のスマートフォンでのLINEログイン利用回数(100,124,282 )と2023年の同利用回数(120,634,637 )で比較
PC・タブレットでのソーシャルログイン利用回数の割合は、Googleログインが31%でトップでした。続いてLINE(30%)、Yahoo! Japan(30%)、Facebook(4%)、X(3%)、Apple(2%)でした(図7)。
また、2022年のデータと比較すると、利用率1位だったYahoo! Japanが減少し、堅調に使われ続けているGoogleが1位に、そしてLINEログインの利用回数が昨年比130%※4 と特に伸びている様子が伺えます。X・Facebookは減少傾向です。(図8)
続いて、「ソーシャルログインを導入する上で、各サイトがどのような組み合わせでソーシャルログインを導入したのか?」と、各組み合わせごとの利用状況を調査した結果です。
◆本調査のサマリ
LINEログインのみで導入サイトが124サイト(前年比+11サイト)で最多となりました。
LINEログインは「LINE公式アカウント」との連携活用を主眼に導入されることが多いため、あえてソーシャルログインもLINEのみに絞る形で活用を推進しているケースが多くあります。
◆LINEログインのみで、2023年にソーシャルログインを導入した事例
2位の組み合わせでソーシャルログインを導入しているサイトでのログイン利用回数の内訳は、LINE(70%)、Google(15%)、Yahoo! Japan(13%)、X(1%)、Facebook(1%)でした。(図9)
また、各サイトごとに最も多く利用されたソーシャルログインの調査では、LINEログインが最も利用されていたサイトが20サイトで最多でした。続いて、Yahoo! JAPANログイン(6サイト)、Googleログイン(6サイト)でした。Facebookログイン・Xログインが利用回数1位のサイトはありませんでした。(図9)
◆5種(LINE・Google・Yahoo! JAPAN・X・Facebook))のソーシャルログインを、2023年に導入した事例
3位の組み合わせでソーシャルログインを導入しているサイトでのログイン利用回数の内訳は、LINE(80%)、Yahoo! Japan(10%)、Google(9%)、Facebook(1%)でした。(図10)
また、各サイトごとに最も多く利用されたソーシャルログインの調査では、LINEログインが最も利用されていたサイトが18サイトで最多でした。続いて、Googleログイン(7サイト)、Yahoo! JAPANログイン(2サイト)、Facebookログイン(1サイト)でした。(図10)
◆4種のソーシャルログインを、2023年に導入した事例
4位の組み合わせでソーシャルログインを導入しているサイトでのログイン利用回数の内訳は、LINE(39%)、Yahoo! Japan(30%)、Google(14%)、Apple(13%)、Facebook(3%)、X(1%)でした。(図11)
また、各サイトごとに最も多く利用されたソーシャルログインの調査では、LINEログインが最も利用されていたサイトが18サイトで最多でした。続いて、Googleログイン(4サイト)、Yahoo! JAPANログイン(2サイト)、Appleでサインイン(1サイト)でした。Xログイン・Facebookログインが利用回数1位のサイトはありませんでした。(図11)
5位の組み合わせでソーシャルログインを導入しているサイトでのログイン利用回数の内訳は、LINE(91%)、Yahoo! Japan(7%)、X(1%)、Facebook(1%)でした。(図12)
また、各サイトごとに最も多く利用されたソーシャルログインの調査では、LINEログインが最も利用されていたサイトが11サイトで最多でした。続いて、Yahoo! JAPANログイン(2サイト)でした。Xログイン・Facebookログインが利用回数1位のサイトはありませんでした。(図12)
LINE以外はこの領域に特に力を入れてないというのが正直な感想です。我々の顧客として一番多いEC業界で見ても、海外は会員登録無しのゲスト購入が一般的に見えるため、日本が主軸のプラットフォームと海外が主軸のプラットフォームの文化の違いもあることに気づきました。
※弊社では2021年から、カナダ発のコマースプラットフォーム「Shopify」に対応したShopifyアプリ「CRM PLUS on LINE」も提供開始しています。
パスキーも出てきましたが、一般的な普及には少なくともあと2〜3年はかかるのではないかと考えています。ボリュームゾーンとなるアーリーアダプターではない層の動きを慎重に見ていく必要があるでしょう。
■LINEログインについて
企業側のニーズ「ユーザーに使ってほしい」とユーザーのニーズ「使い勝手の良いサービスを使いたい」がマッチし、引き続き高い利用率となってます。オフラインでの会員証表示のための認証や、企業のLINE公式アカウントのリッチメニューからサイトへショートカットする際の自動ログインなど、他のソーシャルログインに比べて利用用途も多く、ユーザー体験が圧倒的に良いです。
■Facebookログインについて
昨年も書きましたが、Facebookログイン利用企業へのMeta社のレビューの難易度がさらに高まり、何が問題なのか明言されないまま開発モードへ強制的に変更されてしまうケースが増えました。Facebookログインをサイトから外す選択をとる企業が予想以上に増えた1年でした。今後も減っていくでしょう。
■Yahoo! JAPANログインについて
やはり若年層が弱い点もあり新規での利用はかなり減ってきました。LINEとIDが統合されるまではこの状況が続くでしょう。
■X(Twitter)ログインについて
ここでは書ききれないようなめまぐるしい変化がありましたが、ログインまわりは結果的に影響が少なかったように思います。サードパーティーの立場としては思いつきでコロコロ変わるルールに付き合うのはリスクが高すぎるので、あまり注力はしづらい状況です。
■Googleログインについて
Googleは引き続きGmailやAndroidユーザーが一定数いることにより安定しています。スマホでの利用体験があまり良くないので改善の余地ありだと感じています。
■Appleでサインインについて
企業側のニーズで積極的に導入したり、ユーザーのニーズに応えて導入したりというようなシーンはほぼ見かけないのですが、「iOSアプリにソーシャルログインを導入する際はAppleでサインインも入れないとレビューを通過できないため、導入せざるを得ない」という理由で微増してます。新しくなったAppleの規約も歯切れが悪く、しばらくはこの状況が続きそうです。
※3 LINE Business Guide 2023年4-9月期 媒体資料( https://www.linebiz.com/jp/download/ )
※4 Yahoo! JAPAN 媒体資料 ( https://s.yimg.jp/images/listing/pdfs/yj_mediaguide.pdf )
2023年の調査では、LINEログインが最も多く利用されたソーシャルログインという結果になりました。LINEログインはエンドユーザー目線でもスマートフォンから利用しやすく、かつ企業目線でもLINE公式アカウントへの友だち追加やID連携を促進できるというメリットがあり、昨今ますます導入・活用が進んでいます。
しかしながら、「ソーシャルログイン 導入組み合わせごとの調査詳細」章で述べたとおり、GoogleログインやYahoo! JAPANログインなどが最も利用されたサイトもあります。導入先サイトのユーザーとの相性や、ソーシャルログイン導入によって実現したいことを精査したうえで、導入するソーシャルログインを決めるのがよいでしょう。
弊社ソーシャルPLUSには、2012年からソーシャルログイン導入を支援してきた実績があります。サイト状況に応じたソーシャルログインの設計フォロー、利用されるための導線整備などもサポートさせていただきますので、ぜひお気軽にご相談くださいませ。
ソーシャルログインには「サイトごとに個別のID・パスワードを覚えていなくてもいい」等のメリットがありますが、サイトを訪れるユーザーにとってどういった形で提供するのが最も便利か?新規会員・既存会員向けの導線はどうするか?LINE公式アカウントとの連携活用は検討するのかどうか?など、様々な検討事項をユーザー目線で考えてこそ、その真価を発揮することができます。
等を分かりやすくまとめた記事を公開しているので、ぜひ下記記事も併せてご参照ください。
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