店舗起点でいかに新規顧客を獲得し、それをいかに売上拡大につなげるか、オンラインとオフラインで垣根なく最適な顧客体験を提供していくか?ということが、これまで以上に重要になってきました。
小売業界においても、年々増えるスマホユーザーとのオンライン接点を獲得し、リピートにつなげるために、実店舗やオンラインで利用できるスマホ向けアプリの導入を検討する企業が増えています。そんな中、ネイティブアプリ※とLINEのミニアプリとはどう違うのか?どちらを導入すべきか?といったお問い合わせをいただくことも多くなってきました。
そこで、LINEミニアプリとネイティブアプリの違いやそれぞれの強みやメリットを紹介したいと思います。※ネイティブアプリとは、App StoreやGoogle Playなどのアプリケーションストア経由でユーザーがスマホにダウンロードして利用するアプリです。
まず最初に、小売業者がネイティブアプリやミニアプリを導入することのメリットをご紹介します。
プラスティックカードなど、物理カードによる会員証では、混雑する店舗のレジ横で申込の手続きをする必要があります。この場合だと、申込書への記入やサインなど手間がかかる上に、店舗のオペレーションコストも発生してしまいます。
一方、アプリで提供するデジタル会員証は、スマホで簡単に発行・提示することができます。複数の会員証を持ち歩く必要がなく、紛失や持参忘れということもなくなり、ユーザーの利便性が各段に向上します。
アプリによるデジタル会員証では、購買履歴とポイント獲得履歴、利用履歴といった実店舗でのユーザー情報を取得し、自社の会員情報を紐づけることができます。また、顧客情報をデジタルでセキュアに一元管理できることもメリットです。
取得したユーザーデータを活用して、サービス向上やーザー体験の向上につなげたり、ユーザー属性に応じたクーポンの発行やポイント連動型キャンペーンの実施など、これまで難しかった実店舗向けのデジタルマーケティング施策も可能になります。
プッシュ通知は、スマートフォンの画面に任意のメッセージを表示させ、ワンタップでアプリを起動し、そのままメッセージを確認することができため、即時性があり、開封率が高い傾向があります。
そのため、プッシュ通知を利用してユーザーに最適なメッセージを届けることで、リピート利用などユーザーの行動喚起を促すことができます。
このように、実店舗を有する小売業にとってネイティブアプリやLINEミニアプリの導入で多くのメリットがあることがわかります。
次に、ネイティブアプリとLINEミニアプリとの違いやそれぞれの強みをみてみましょう。
ネイティブアプリでは、事業者は、独自のアプリを開発・提供することで、スマホのホーム画面に自社サービスのアイコンを表示させることができます。ユーザーはスマホをタップするだけで簡単に起動し利用できることから、ユーザーに継続的な利用を促しやすいというメリットがあります。
一方でデメリットとしては、開発コストがかかる点や、なんといってもユーザーにダウンロードしてもらう必要があるため、導入ハードルが高いという点があげられます。また、ユーザーが"楽しい"、"便利"とメリットを感じるアプリでないと継続利用されづらいという点も事実です。
ニールセンが実施した2019年の12月の日本におけるスマートフォンの利用時間やアプリの利用個数などの利用状況調査では、数多くのネイティブアプリがある中、ユーザーがダウンロードし、日常的に利用するアプリは限定的であることがわかります。
このことからも、ネイティブアプリは、手軽な利用を促すというより、コアユーザー・ロイヤル顧客向けに充実したサービスを提供できる点に強みがあるといえます。
参考:若年層を中心にアプリの利用が拡大~ニールセン スマートフォンのアプリ利用状況を発表~ | ニュースリリース | ニールセン デジタル株式会社
LINEミニアプリでは、多くのユーザーが日常的に使用するLINEアプリの中に、メニューや料金などの情報、予約フォームの設置、クーポン発行、会員証(ポイントカード)機能、決済機能などを組み合わせて、自社のWebサイトやネイティブアプリにかわる機能を開設できます。
LINEミニアプリの強みとしては、大きく2つあります。
1つ目は、多くのユーザーが利用しているLINEアプリの中で自社サービスを展開できる点です。
アプリダウンロードの手間が減るため、実店舗での購買というユーザーのモチベーションが高いタイミングで、アプリのダウンロードを好まないお客様(ライトユーザー)のデジタル会員証を発行を促し、オンラインでの接点を獲得することができます。
2つ目は、LINEミニアプリのデジタル会員証発行の初回認証時にLINEの友だち追加を促すことで、LINE公式アカウントを通じたメッセージ配信など継続的なコミュニケーションが可能になる点です。
LINEミニアプリのデジタル会員証施策では会員証発行時にLINE公式アカウントへの友だち追加とID連携のプロセスを組み入れることができます。
実店舗での会員証発行をきっかけに、自社に興味関心の高いユーザーをLINEの友だちに追加し、以後、LINEのメッセージ配信で継続的なコミュニケーションを行うことができます。
ネイティブアプリとLINEミニアプリは二者択一ではありません。
ユーザーニーズは個々人で異なることからも、企業視点でのネイティブアプリかLINEミニアプリかという選択ではなく、第一にユーザー視点で検討することが重要です。
「ネイティブアプリを開発したものの、なかなか利用されなくて...」というケースは決して珍しくはありません。
ネイティブアプリをまだ導入していないケースでは、アプリのダウンロード不要で、ユーザーに手軽に利用してもらえるLINEミニアプリの導入をお勧めします。
LINEミニアプリはLINEのプラットフォームに対応したウェブアプリの開発で導入できるため、ネイティブアプリと比較して開発コストを抑えることができます。
また、ユーザーに利用してもらうことで、LINEミニアプリ内でのユーザーアクション(予約・注文・決済・会員証提示等)に基づいた、ユーザー行動データが取得できます。
つまり、導入コストを抑えつつ、LINEミニアプリ導入で得たさまざまなデータを元に、LINEミニアプリの機能改善や新たなネイティブアプリ導入などのサービス改善につなげることができます。
ネイティブアプリ、LINEミニアプリと複数の選択肢を提供し、便利な手段をユーザーに選んでもらうことが、結果的にアプリ利用率の向上につながります。
頻繁に利用するお店やサービスでは、ネイティブアプリをダウンロードしておくことで、簡単かつ便利にお買い物ができます。
一方で、実店舗のレジで会計を行っている最中にネイティブアプリの登録を促されても、追加アプリのダウンロードや煩雑な会員登録を望まれないお客様も一定数います。また、会計中のお客様がネイティブアプリの登録に時間がかかるとレジで並んでいる他のお客様の不満に繋がる可能性があります。
その点、LINEミニアプリであれば、QRコードを読み込むことでポイント機能などの会員証サービスをうけることができます。そのため、店頭スタッフのオペレーション改善や、積極的にアプリのダウンロードを行いたくないライトユーザーにも利用を促すことができます。
次の章ではネイティブアプリとLINEミニアプリ併用のメリットを具体的にみてみましょう。
ライトユーザーからロイヤル顧客にまで幅広い接点を獲得できる
ネイティブアプリは、ミニアプリが提供している機能に限定することなく、自社オリジナルのサービスを提供できる利点があります。頻繁に利用するお店やサービスでは、ネイティブアプリをダウンロードしておくことで、便利にサービスを受けられるので、特にロイヤル顧客への便利な顧客体験の提供に有効です。
一方で、実店舗においては、接点を獲得できるタイミング、つまり、店内やレジ横でアプリをダウンロードしてもらうことがハードルになっている点も事実です。
その点、LINEミニアプリを活用すればQRコードを読み取るだけで、LINE上に会員証を発行できるため、これまでネイティブアプリのダウンロードや煩雑な会員登録を望まず、接点を持てなかったライトユーザーとも効果的にオンライン接点を持つことが可能です。
結果として、それぞれの強みを活かしつつ、ライトユーザーからロイヤル顧客まで幅広いユーザーのニーズに応えることにつながります。
また、LINEミニアプリとLINE公式アカウントの併用で、お客様の普段良く利用する店舗や購買した商品に基づいたメッセージを個別に配信することもできます。
そのため、まずはLINEミニアプリでお客様とオンライン接点を獲得し、お客様と1to1のコミュニケーションを取る中で自社のネイティブアプリも併用してもらうといった活用が可能です。
ネイティブアプリ、LINEミニアプリのいずれの場合でも、プッシュ通知でユーザーに即時性の高いメッセージを送ることができる点はメリットの一つです。
ただし、ネイティブアプリの場合は、ユーザーが通知をONにしていることが条件になり、通知が届かないユーザーも一定数います。
その点、LINEであれば、LINE上で会員証を表示できることがユーザーメリットとなり、LINE公式アカウントのブロック率を下げることができます。
そのため、LINE公式アカウントとLINEミニアプリ双方の機能でプッシュ通知を送ることで、ユーザーに広くメッセージを届けることが可能です。
前述の通り、LINEミニアプリのデジタル会員証施策では会員証発行時にLINE公式アカウントへの友だち追加とID連携のプロセスを組み入れることができます。
そのため、実店舗を起点にオンライン接点を獲得したユーザーとLINEの公式アカウントを通じて継続的な接点を持ち続けることが可能になります。
また、ID連携済のユーザーに対しては、自社会員のユーザー情報をもとに、ユーザー毎にメッセージを出しわけるセグメント配信も可能です。
LINE公式アカウントのメッセージは、即時性があるため、例えば、お気に入りに登録していた商品の入荷情報などの在庫連動型メッセージや、期間限定キャンペーンの案内を行うことで、LINEを経由した購買を促進することもできます。
このようにLINEのチャネルを活用したマーケティング施策を行うことで、LINE経由の売上アップにもつながります。
最後に、国内1,000店舗以上の実店舗に加え、ECサイト「PAL CLOSET」を運営している株式会社パルの事例をご紹介します。株式会社パルではネイティブアプリ「PAL CLOSET」とLINEミニアプリを併用し、高い効果をあげています。
2018年6月にローンチしたネイティブアプリでは「PAL CLOSET」では、商品購入時にパルグループの店舗とECサイト双方で使える共通ポイントが得られる「会員証」機能を提供、また、新着アイテムや会員限定セールの情報、クーポンなどを配信することで、ユーザーの行動を喚起する点で一定の効果をあげました。
一方で、アプリのダウンロードがハードルとなり、アプリの新規会員数が伸び悩みに課題がありました。
2020年2月より、スマホでQRコードを読み取るだけで、すぐに会員証(バーコード)を提示できる「LINEミニアプリ」の提供を開始しました。
これまで4〜5分を要していたネイティブアプリの案内と比べ、QRコードの読み取りから会員証の提示まで"わずか5秒"に短縮、スタッフの負担軽減にもつながったとのことです。
これにより、ネイティブアプリで取りこぼしていた店頭顧客とのオンライン接点の獲得に成功し、2020年3月以降、新型コロナウイルスの拡大で営業自粛となった店舗が多い中、PAL CLOSETの新規会員数は前月比(LINEミニアプリのリリース前)に比べて倍増しました。
3COINSの店舗に限定すれば、新規会員の8割がLINEミニアプリでの登録を選択しているとのことです。
「PAL CLOSET」のLINEミニアプリでは、会員証の発行と同時に、「PAL CLOSET」のLINE公式アカウントの友だち追加が完了します。
「PAL CLOSET」では、会員数増加に伴い、LINE公式アカウントの友だち数・ターゲットリーチ数も、取り組み開始からわずか1カ月で約3倍に増加し、ブロック率も減少したとのことです。
そのため、店舗でオンライン接点を獲得したユーザーに対して、購買後もLINEのメッセージを通じて、継続的なコミュニケーションをとることができるようになっています。
また、電子レシートやLINE公式アカウントから「PAL CLOSET」のECサイトの利用につなげることもできるため、LINEミニアプリの導入後、ECサイトの売上が前年比5倍に増加しました。
ネイティブアプリとLINEミニアプリ、それぞれの強みを紹介しながら、これらを併用することのメリットをお伝えしました。
ユーザー行動がますます多様化する中においては、可能な限り多くのチャネルを用意し、ユーザーにとって、より便利な方法を選択してもらうというアプローチが重要となるのではないでしょうか?
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